雇用契約のつぼ
 

介護事業者の経営目的は、大別すると利益の追求と利用者との信頼関係を深めるということの2点を挙げることができます。この目的を達成するために、どの事業者でも従業員の募集、採用そして勤務体制の見直しや雇用契約の見直し、教育訓練などの雇用管理を行っていることと思います。ここでは雇用管理の中でも良好な労使関係を構築する為に重要な要素となる雇用契約の締結(労働条件の決定)についてのポイントをご紹介します。

日本の就労形態は、ますます多様化の傾向が強まってきています。その多様化とは、非正規従業員のウェートの拡大です。SR介護ビジネスサポートセンターでは、今後、特別な熟練を要しない現場的な仕事は、その大半が非正規従業員で回わるようになると考えます。つまり、正規従業員は、幹部若しくは幹部候補生に絞られてくるということです。そして仕事を「コアとなる仕事」と「コアとならない仕事」に大別したとすると次の人材戦略が浮かびあがってきます。

☆コアとなる仕事

責任ある立場の仕事。能力が高くないとできない仕事。何年も経験しないとできない熟練を要する仕事でかつ大きな付加価値を生み出す仕事。この「コアとなる仕事」は、基本的に正規従業員が今後も担当することになると思われます。この正規従業員は、研修を重ねながら長期育成をする。育成するコースは、@管理職(リーダーシップを発揮する者の育成)A専門職(職人技のような一芸に秀でた者の育成)という2つが考えられる。正規従業員の賃金形態は、基本的に生活を安定させる部分(基本給、残業代)、その上にプラスαする手当(役職手当)を支給する形になると良いでしょう。そして正規従業員であるがゆえに業績責任も問われることがあります。

☆コアとならない仕事

責任があまり大きくない仕事、1〜2年経験すれば誰にでもできるようになる仕事。大きな付加価値を生み出さない仕事。いわゆる流れ作業的な業務です。この「コアとならない仕事」は、非正規従業員であるパートタイマー、契約従業員、嘱託従業員、登録従業員などの多種多様な雇用形態の者が担当するようになります。この非正規従業員の賃金形態は、時給制又は日給制が主流となると思われる。賞与、退職金は原則として支給しない。そして非正規従業員は原則として業績責任を問われることはありません。

この人材戦略を踏まえた上で雇用契約を締結する際のポイントは

@「コアとなる仕事」、「コアとならない仕事」を明確にした上で労働条件を決定すること。

A正規従業員で採用するのか非正規従業員で採用するのかを明確にすること。

B雇用期間及び雇用期間更新の有無を明確にすること。

C賞与、退職金の有無を明確にすること。

D試用期間の有無を明確にすること。

E賃金形態を明確にすること。

F休日、休憩、休暇、労働時間について明確にすること。

G労働・社会保険加入の有無

H退職、解雇に関する事項を雇用契約書に記載すること。

(注意)

上記@〜G以外にも労働基準法で規定されている絶対的明示事項は労働契約の締結に際して必ず明示しなければなりませんので注意が必要です。

《介護事業における主な雇用形態(雇用契約では雇用区分を明確にすることが重要です)》

@正規従業員

常勤で働く、管理者や責任者などの基幹業務を担当する従業員

Aパートタイマー

正規従業員よりも短い時間又は特定の曜日に働く従業員

B契約従業員

契約期間を定めて、常勤でフルタイム働く従業員

C派遣従業員

派遣会社から派遣される従業員。雇用契約は派遣会社との間で締結される。

D登録従業員

勤務表などに基づいて、働いてほしい時、又は臨時に働いてもらう従業員。

E嘱託従業員

60歳を超えて雇用している従業員。

*一般的にはA、B、C、D、Eを非正規従業員と呼ぶことが多いようです。

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