福祉サービスの第三者評価の背景
  今までの福祉は、国の措置制度の下に行政側の論理が優先されてきました。しかしそれには、次の理由がありました。
1.福祉ニーズに比べてサービス可能な量が不足していたことより、行政が福祉サービス利用者の優先順位を決める必要があったこと。
2.福祉サービスは非常に高額になる場合が多いので公的な支援が必要不可欠であったこと。
3.福祉サービスの利用者が、障害や痴呆のために判断力が低下していることや未成年者であることが多いことからサービス提供側と利用する側の対等な関係が困難であったためより利用者に保護的な処遇が必要であったこと。

 しかしながらこのような考え方に基づく福祉サービスの提供は、かつてない高齢化社会に突入しつつある日本では、もはや時代の要請にそぐわないものとなってきました。そこで福祉サービスのあり方自体が、提供側の論理から利用者側の論理に大きく転換すること迫られました。こうして介護保険制度等が誕生したわけです。介護保険制度では、従来の措置制度と異なり、利用者とサービス提供者(介護事業者)と対等な関係をつくり、より利用者本位のサービスが求められることになったのです。そしてこの利用者本位の開かれた福祉サービスを実践する手法として福祉サービスの第三者評価という取り組みが行われつつあるのです。
福祉サービスの第三者評価とは
  その名通り、第三者である評価機関が、公正な立場で客観的に介護事業者の現在の状況を評価することです。評価の手法については、各都道府県によって異なるようですが、東京都の場合では、@利用者調査」とA「事業評価」を組み合わせて行っています。
@の利用者調査は、利用者の意向や満足度を把握するため、原則として利用者本人を対象に行われるもので、その手法には、「アンケート方式」、「ヒアリング方式」、「コミュニケーション方式」があります。
Aの事業評価は、事業評価分析シートを基準に評価されることになり、この評価をもとに事業者の組織体としてのマネジメント力や提供しているサービスの質を把握、評価することになっています。

 この第三者評価制度の優れた点は、事業者が第三者から評価をもらうことにより、評価によって今まで気づくことができなかった点について改善努力をしていけるところです。そして同時に事業の良いところや弱点も指摘されることになるので、経営担当者にとっては、重要な情報が得られることになるので大きなプラスであるといえます。

 しかし、介護事業者にとって第三者評価制度に興味があったとしても実際に第三者評価を受けることはとても勇気がいることになります。というのは、東京都の場合などは、評価結果が公表されることになるので悪い評価結果が出た場合などには、事業運営にマイナスに働くことも考えられますし、なんだかランク付けされるイメージも出てくるからです。介護事業者によっては、まだまだ第三者評価制度自体が世間一般に浸透していないことや成熟していないことを理由にをリスクをおってまで受ける必要がないと判断しているようです。
第三者評価制度を受ける事業者に関する独り言
  当サイトでは、まだまだ第三者評価制度自体が成熟していないとはいえ、第三者評価を受けることにより利用者本位の福祉サービスの向上、実現を目指して少しでもレベルアップをしたいという介護事業者を高く評価したいと思います。たとえ評価時点で残念ながら悪い結果になっていたとしてもです。なぜなら現時点で第三者評価を受ける事業者は、真に利用者本位のサービスを目指して少しでも改善していくことを真摯に考えている事業者と思えるからです。